歯磨きを嫌がる犬のデンタルケア|歯ブラシの代わりになる方法と組み合わせ方
文:ANIMALITY JOURNAL 編集部(株式会社あにまる製薬)
歯磨きをどうしても嫌がる犬には、ガーゼ、歯磨きジェル、デンタルガム、飲み水に混ぜるもの、フードにかけるものなど、歯ブラシ以外の方法があります。それぞれの手間と向いている犬を比べ、歯ブラシに戻るための段階的な組み合わせ方と、注意したい点をまとめました。
KEY POINTSこの記事のポイント
- 歯垢を落とす基本はこすること。歯ブラシ以外の方法は、続けるための入口と補助です。
- ガーゼ・ジェル・ガム・飲み水・フードの5つを、手間と犬の性格で選びます。
- 受け入れやすい方法から始め、少しずつ歯ブラシに近づけていく組み合わせが現実的です。
歯ブラシを見せただけで逃げる、口元に手を近づけるとうなる。そんな犬との歯磨きに、疲れてしまう飼い主さんは少なくありません。無理に押さえて磨き続けると、犬はますます口を触られるのを嫌がるようになります。
この記事では、歯ブラシ以外の方法を5つ比べ、それぞれの手間と向いている犬を整理します。歯ブラシに慣らす手順そのものは、犬の歯磨きを嫌がるときのやり方で段階ごとに紹介しています。
前提:こすって落とすのが基本
歯の表面につく歯垢は、こすって落とすのがもっとも確実です。ここで紹介する方法は、歯ブラシの代わりというより、毎日のケアを途切れさせないための入口や補助と考えてください。
すでに歯石がついている、歯ぐきが赤い、口のにおいが強いといった場合は、方法を選ぶ前に動物病院で口の中を診てもらうのが先です。歯石は家庭のケアでは落とせません。詳しくは犬の歯石は自宅で取れるかを読んでください。
歯ブラシ以外の5つの方法
| 方法 | 手間 | こする要素 | 向いている犬 |
|---|---|---|---|
| ガーゼ・指サック | 少ない | ある | 口を触らせてくれるが、歯ブラシは苦手 |
| 歯磨きジェル | 少ない | 組み合わせ次第 | 口元に手を近づけるのも苦手 |
| デンタルガム | ほとんどない | 噛む動きのみ | よく噛んで食べる |
| 飲み水に混ぜるもの | ほとんどない | ない | 口を触られるのを強く嫌がる |
| フードにかけるもの | ほとんどない | ない | 食べることが好き。口を触らせない |
ガーゼ・指サック
指にガーゼを巻くか、歯磨き用の指サックをつけて、歯の外側をなでます。歯ブラシより指の感覚に近いため、嫌がりにくい犬が多い方法です。奥歯の外側から始めると、口を大きく開けさせずにすみます。
歯磨きジェル
ジェルを指にのせてなめさせるところから始められます。口元に手が近づくこと自体に慣れる段階で役に立ちます。選び方は犬用歯磨きジェルの選び方にまとめています。
デンタルガム
噛むことで歯の表面に物理的な刺激を与えるおやつです。犬の体重に合ったサイズを選び、丸飲みしないか見守ります。海外の獣医歯科の団体(VOHC)が一定の基準で評価した製品の一覧を公開しているので、選ぶときの参考になります。
飲み水に混ぜるもの
いつもの飲み水に加えて使うタイプです。手間はほとんどかかりませんが、こする要素はありません。水を飲む量が少ない犬では、器を増やすなど飲みやすい環境づくりもあわせて考えます。
フードにかけるもの
いつものごはんにふりかけるタイプです。食べることが好きな犬なら、特別な時間をつくらずに続けられます。初めてのときは少量から加え、食べ方や便の様子に変わりがないかを見てください。
段階的な組み合わせ方
- 第1段階:フードにかける、または飲み水に混ぜる方法で、口のケアを毎日の習慣にする
- 第2段階:ジェルを指にのせてなめさせ、口元に手が近づくことに慣らす
- 第3段階:ガーゼや指サックで、奥歯の外側を数秒なでる
- 第4段階:歯ブラシを口元に当てる練習をし、数本ずつ磨く
第1段階の方法は、第4段階に進んだあとも続けてかまいません。毎日の歯磨きに、ふりかけや飲み水のケアを組み合わせている家庭も多くあります。
気をつけたいこと
- 硬すぎる骨やひづめ、硬いおもちゃは歯が割れる原因になることがある
- 人間用の歯磨き粉や洗口液は使わない
- 歯ぐきから出血したら、こするケアはいったん止めて様子を見る
- 新しいものを試すときは1つずつにし、体調の変化を確かめる
犬のタイプ別の組み合わせ例
| 犬のタイプ | 始めやすい組み合わせ |
|---|---|
| 口元を触ると逃げる | フードにかける方法を毎日。週に数回、ジェルをなめさせる練習 |
| 口は触らせるが歯ブラシは嫌がる | ガーゼで奥歯の外側を毎日。慣れたら歯ブラシを数本だけ |
| 食べることが大好き | フードにかける方法と、体重に合ったデンタルガム |
| 水をよく飲む | 飲み水に混ぜる方法と、ガーゼでの練習 |
| シニアで体を押さえられるのが負担 | フードや飲み水の方法を中心に、短時間のガーゼケア |
どの組み合わせでも、半年から1年に1回は動物病院で口の中を診てもらい、いまのケアで足りているかを確認してもらうと安心です。
こんなときは動物病院へ
まとめ
歯ブラシを嫌がる犬には、受け入れやすい方法から始めて、毎日のケアを途切れさせないことを優先します。こする要素のない方法だけで終わらせず、少しずつ歯ブラシやガーゼに近づけていくのが理想です。
あにまる製薬の ORAL+POWDER 30x(犬猫用デンタルふりかけ)は、歯みがきが苦手な子でも毎日続けられるように、いつものフードにふりかけるだけで使えるよう設計しました。第1段階の習慣づくりの選択肢として検討してみてください。ふりかけタイプの選び方はデンタルふりかけの選び方で詳しく紹介しています。
よくある質問
歯磨きをしないと、どうなりますか。
歯垢がたまり、時間がたつと歯石になります。歯垢の細菌は歯ぐきに炎症を起こし、歯周病につながることがあります。歯ブラシが難しくても、できる範囲のケアを毎日続けることが大切です。
デンタルガムを毎日与えてもよいですか。
製品の表示にある回数と体重の目安を守ってください。ガムもカロリーがあるので、1日のおやつの量に含めて考えます。丸飲みする癖がある犬は、のどに詰まらせないよう、食べ終わるまでそばで見守ってください。
硬いおもちゃや骨で歯をきれいにできますか。
硬すぎるものを噛むと、歯が欠けたり割れたりすることがあります。爪で押してへこまない硬さのものは避けるよう、獣医師から勧められることが多いです。
麻酔をかけない歯石取りはどうですか。
麻酔をかけずに歯の表面の歯石を取っても、歯周病の原因になる歯ぐきの下の汚れは残ります。歯石が気になる場合は、動物病院で口の中を診てもらい、処置の方法を相談してください。
参考情報
- WSAVA Global Dental Guidelines(World Small Animal Veterinary Association (WSAVA), 2020)
- VOHC Accepted Products(Veterinary Oral Health Council (VOHC))
この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりになるものではありません。体調の変化や気になる症状があるときは、早めにかかりつけの獣医師にご相談ください。 文:ANIMALITY JOURNAL 編集部(株式会社あにまる製薬)