犬の歯石は自宅で取れる?取り方の限界と毎日のケア
犬の歯石を自宅で取りたいと考える飼い主さんは多いですが、硬くなった歯石を家で安全に取り除くことはできません。自宅でできるのは歯垢までのケアです。歯石の除去が動物病院で行われる理由、無麻酔での歯石取りの注意点、毎日できるケアと磨き方のポイントをまとめました。
KEY POINTSこの記事のポイント
- 歯磨きで落とせるのはやわらかい歯垢までで、硬くなった歯石は自宅では落とせません。
- 爪や市販のスケーラーで削ると、歯ぐきを傷つけたり、口元を触られるのを嫌がるようになったりするおそれがあります。
- 歯石の除去は動物病院で行う処置で、全身麻酔をかけて歯と歯ぐきの間まで処置するのが一般的です。
犬の歯に黄色や茶色の硬い汚れがついているのを見つけると、家で取ってあげたくなるかもしれません。インターネットでは、指や器具で歯石を取る方法が紹介されていることもあります。
ただ、硬くなった歯石を自宅で安全に取り除くことはできません。この記事では、自宅でできるケアと動物病院で行う処置の違いを整理し、歯石を増やさないために毎日できることを紹介します。
歯垢と歯石の違い
自宅ケアの限界を知るには、まず歯垢と歯石の違いを押さえておく必要があります。
| 歯垢 | 歯石 | |
|---|---|---|
| 状態 | やわらかく、ねばねばしている | 石のように硬い |
| 正体 | 食べかすと細菌のかたまり | 歯垢に唾液の成分が沈着して硬くなったもの |
| 自宅での歯磨き | 落とせる | 落とせない |
犬は人に比べて、歯垢が歯石に変わるまでの期間が短いといわれています。そのため、歯磨きの間隔があくと、歯石がつきやすくなります。
歯石の表面はざらざらしているため、さらに歯垢がつきやすく、歯周病が進むきっかけになります。
自宅で歯石を取ろうとするリスク
指の爪で削る、市販のスケーラーでこする、といった方法は避けてください。理由は次のとおりです。
- 犬が急に動いたとき、器具で歯ぐきや舌、唇を傷つけるおそれがある
- 歯の表面に細かい傷がつき、かえって歯垢がつきやすくなることがある
- 見える部分の歯石が取れても、歯と歯ぐきの間の汚れは残る
- 押さえつけられた経験から、口元を触られることを嫌がるようになる
特に最後の点は、その後の歯磨きの習慣づくりにも影響します。
動物病院での歯石除去の流れ
動物病院では、全身麻酔をかけたうえで歯石を除去するのが一般的です。麻酔をかけることで、歯の表面だけでなく歯と歯ぐきの間(歯周ポケット)まで処置しやすくなり、必要に応じてレントゲン検査で歯の根元の状態を確認することもあります。具体的な内容は病院や口の中の状態によって異なります。
麻酔に不安がある場合は、事前の血液検査などで体の状態を確認する病院が多いです。年齢や持病を含めて、獣医師に相談してください。
無麻酔での歯石取りについて
麻酔をかけずに歯石を取るサービスもあります。見た目がきれいになるため安心しやすいのですが、次のような点が指摘されることがあります。
- 歯周病が進みやすい歯と歯ぐきの間の汚れまで処置することが難しい
- 歯の表面だけがきれいになり、口の中の病気が見逃される場合がある
- 押さえられる時間が長く、犬にとって恐怖や負担になることがある
受けるかどうかを考えるときは、まずかかりつけの獣医師に口の中を診てもらい、必要な処置を確認したうえで判断してください。
歯石をためないために自宅でできる毎日のケア
自宅ケアの目的は、歯垢が歯石に変わる前に落とすことです。動物病院で歯石を取ったあとは、きれいな状態を保つための習慣づくりに切り替えます。
基本は毎日の歯磨き
歯垢を落とすのに最も直接的な方法は歯ブラシでの歯磨きです。できれば毎日、歯と歯ぐきの境目を意識して磨きます。嫌がる場合は、口元に触れる練習から段階的に進めてください。手順は犬の歯磨きのやり方で紹介しています。
歯磨きを補うケア
歯磨きがまだ難しい時期や、歯磨きにプラスしたいときは、次のような方法もあります。
- 指にガーゼを巻いて歯の表面を拭く
- デンタルガムやおもちゃを取り入れる(硬すぎるものは歯が欠ける原因になるため注意)
- 口腔ケア用のふりかけや飲み水に加えるタイプの製品を使う
これらは歯磨きの代わりではなく、補助として考えるのが現実的です。海外には、口腔ケア製品を評価する団体(VOHC)もあり、製品選びの参考にされています。
歯ブラシを使った磨き方のポイント
- 毛先を歯と歯ぐきの境目に当て、小刻みに動かす
- 力は入れず、歯ぐきが白くならない程度の軽さで十分
- 歯垢がつきやすい犬歯と奥歯の外側から始める
- 1回の時間は1〜2分程度を目安にし、嫌がる前に終える
全部の歯を毎回完璧に磨く必要はありません。続けられる範囲を少しずつ広げることを優先してください。
定期的に口の中を見てもらう
健康診断やワクチン接種の際に、口の中もあわせて診てもらうと、歯石のつき具合を客観的に知ることができます。
今日からできること
まずは唇をめくって、歯の表面に硬い汚れがついていないか見てください。歯石がすでについている場合は、動物病院で相談するのが先です。
そのうえで、毎日の歯磨きを少しずつ習慣にしていきます。歯磨きと合わせて、ORAL+POWDER 30x(犬猫用デンタルふりかけ)のようにフードにかけるタイプの製品を、毎日のケアのひとつとして取り入れる方法もあります。
よくある質問
歯石は歯ブラシで強くこすれば取れますか。
取れません。歯石は歯垢が硬くなったもので、歯ブラシでは落とせない状態です。強くこすると歯ぐきを傷つけ、痛みで歯磨きを嫌がる原因にもなります。
市販のスケーラーで歯石を取ってもよいですか。
おすすめしません。犬が動いたときに歯ぐきや口の中を傷つけるおそれがあり、歯の表面に細かい傷がつくと歯垢がつきやすくなることもあります。歯石の除去は動物病院に相談してください。
無麻酔の歯石取りは安全ですか。
見える部分の歯石を取っても、歯周病が進みやすい歯と歯ぐきの間の汚れまでは十分に処置できないことが指摘されています。犬にとって負担や恐怖になる場合もあるため、受けるかどうかは獣医師とよく相談してください。
動物病院で歯石を取ったあとは何をすればよいですか。
きれいになった状態を保つために、毎日の歯磨きを始めるのに適したタイミングです。処置後のケアの始め方や注意点は、処置をした獣医師に確認してください。
参考情報
- 犬と猫のデンタルケアガイドライン(AAHA (American Animal Hospital Association))
- 犬と猫の歯科処置に関する飼い主向け情報(AVMA (American Veterinary Medical Association))
- 口腔ケア製品の評価に関する情報(VOHC (Veterinary Oral Health Council))
この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりになるものではありません。体調の変化や気になる症状があるときは、早めにかかりつけの獣医師にご相談ください。 執筆:あにまる製薬 編集部