猫の歯磨きのやり方|嫌がる猫の慣らし方と難しいときのケア
猫の歯磨きは、犬以上に段階を踏んだ慣らし方が大切です。猫ならではの注意点、口元に触れる練習から歯ブラシまでの手順、歯磨きが難しい場合のほかのケア、歯肉口内炎や吸収病巣など動物病院で診てもらいたい口のサインをまとめました。1回の時間の目安や道具の選び方も紹介します。
KEY POINTSこの記事のポイント
- 口元に触れる、唇をめくる、ガーゼで触れる、味に慣れる、歯ブラシの順に段階を踏んで進めます。
- 押さえつけずに短時間で終え、慣れても1回30秒から1分程度、左右を日ごとに分けても構いません。
- よだれや食べ方の変化、口元を気にするしぐさがあるときは、練習を止めて動物病院に相談する目安になります。
猫の歯磨きは、犬に比べて取り組んでいる家庭が少ないケアかもしれません。口元を触られるのを嫌がる猫も多く、「うちの子には無理」とあきらめてしまうこともあると思います。
ただ、猫も歯垢や歯石がたまり、口の中のトラブルが起こる動物です。この記事では、猫ならではの注意点を踏まえた慣らし方と、歯磨きが難しい場合のケア、動物病院で診てもらいたい口のサインを紹介します。
猫の口の中で起こりやすいこと
猫も犬と同じように、歯垢がたまると歯ぐきに炎症が起こり、歯周病へ進むことがあります。それに加えて、猫には特徴的な口の病気がいくつか知られています。
- 歯肉口内炎 歯ぐきや口の奥の粘膜に強い炎症が起き、痛みでよだれや食欲の低下がみられることがあります。
- 歯の吸収病巣 歯が少しずつ溶けるように失われていく病気とされています。歯ぐきの縁が赤くなっていたり、触ると痛がったりすることがあります。
どちらも見た目だけでは判断が難しく、診断や治療は動物病院で行うものです。
猫の歯磨きで気をつけたいこと
猫の歯磨きは、犬以上に「嫌な経験をさせない」ことが大切です。
- 押さえつけたり、抱え込んだりしない
- 短時間で終える(最初は数秒で十分)
- 猫が自分から離れたら、追いかけずにその日は終える
- 毎日同じ時間、同じ場所で行い、予測できる流れにする
- 猫に使えると明記された歯磨き用品を使う
一度怖い思いをすると、口元に手を近づけるだけで逃げるようになることがあります。急がず、猫のペースに合わせてください。
段階的な慣らし方
各段階は、猫がリラックスしたまま受け入れられるようになってから次に進みます。数週間から数か月かかることも珍しくありません。
ステップ1 頬や口元に触れる
猫がくつろいでいるときに、頬をなでるついでに口元に軽く触れます。触れたらすぐに手を離し、好きなおやつや声かけで褒めます。
ステップ2 唇をめくる
口元に触れても平気になったら、上唇を少しめくって犬歯や奥歯を見ます。数秒で終わらせて構いません。
ステップ3 指やガーゼで歯に触れる
指にガーゼを巻き、犬歯の外側を軽くなでます。猫の口は小さいので、奥歯は唇の横から指を少し入れる程度にします。
ステップ4 味に慣れる
猫に使える歯磨きジェルやペーストを指先にのせて舐めさせます。好みの味だと、歯磨きの時間を受け入れやすくなることがあります。
ステップ5 歯ブラシを使う
猫用の小さな歯ブラシや、指サック型のブラシに切り替えます。最初は犬歯の外側を1〜2回動かすだけで終えます。少しずつ範囲を広げ、奥歯の外側まで届くようになるのが目標です。
道具の選び方と1回の時間の目安
猫の口は小さく、歯も細いため、道具選びで進めやすさが大きく変わります。
- 歯ブラシ ヘッドが小さく、毛がやわらかい猫用を選びます。人の子ども用でも大きすぎることがあります。
- 指サック型ブラシ 指の感覚で力加減がわかりやすく、慣らし始めの時期に向いています。
- ガーゼ 歯ブラシを嫌がる猫でも受け入れやすい道具です。指に1周巻いて使います。
- 歯磨きジェル 猫に使えると明記されたものを選び、においや味の好みも見ながら試します。
1回の時間は、慣れてきても全体で30秒から1分程度を目安にします。全部の歯を毎回磨けなくても構いません。今日は右側、明日は左側と分けると、猫の負担を抑えながら続けられます。
うまくいかない日があっても、叱ったり追いかけたりしないでください。終わったあとに好きな遊びやおやつを用意しておくと、歯磨きの時間が「いいことの前ぶれ」になっていきます。
歯磨きが難しい猫のためのケア
どうしても歯ブラシを受け入れない猫もいます。その場合は、できることを組み合わせて口の中を清潔に保つことを考えます。
| 方法 | ポイント |
|---|---|
| ガーゼで拭く | 歯ブラシより受け入れやすい猫が多い |
| デンタルケア用のフードやおやつ | 猫用と表示されたものを選ぶ |
| 飲み水に加えるタイプのケア用品 | 飲む量が減っていないか確認する |
| 定期的な口腔チェック | 健康診断で口の中も見てもらう |
これらは歯磨きを補うものと考えるのが現実的です。歯磨きができない分、動物病院で口の中を定期的に診てもらうことが大切になります。
動物病院を受診したい口のサイン
猫は痛みを隠すのが得意な動物です。次のような変化は、口の中にトラブルがあるサインかもしれません。
- よだれが増えた、口の周りの毛が汚れている
- 食べたそうにするのに途中でやめる、食べこぼしが増えた
- ドライフードを避け、やわらかいものばかり食べる
- 口のにおいが強くなった
- 前足で口元をこする、顔を触られるのを嫌がる
- 毛づくろいをしなくなった
今日からできること
まずは、猫がくつろいでいるときに頬をなでるついでに口元へ軽く触れ、すぐに褒めるところから始めてみてください。それを毎日続けるだけでも、次の段階に進む準備になります。
歯ブラシがまだ難しい時期には、ORALIS(犬猫用デンタルウォーター)のような犬猫兼用の製品を、口元を清潔に保つ習慣づくりのひとつとして取り入れる方法もあります。気になる口のサインがあれば、自宅ケアより先に動物病院で相談してください。
よくある質問
猫にも歯磨きは必要ですか。
猫も歯垢や歯石がつき、歯周病などの口のトラブルが起こります。口の中を清潔に保つ方法として、歯磨きは猫にとっても基本のケアです。ただし無理に行うと強いストレスになるため、猫のペースに合わせて進めてください。
成猫になってからでも歯磨きに慣れますか。
時間はかかりますが、口元に触れる練習から少しずつ進めれば受け入れてくれる猫もいます。どうしても難しい場合は、歯磨き以外のケアを組み合わせ、定期的に動物病院で口の中を診てもらう方法もあります。
犬用の歯磨き用品を猫に使ってもよいですか。
犬猫兼用と表示されているものは使えますが、犬用のみと表示されているものは避け、猫に使えると明記された製品を選んでください。人間用の歯磨き粉は使わないでください。
猫がよだれを垂らしたり、食べにくそうにしています。
口の中に痛みがある可能性があります。歯肉口内炎や歯の吸収病巣など、猫に多い口の病気が関係していることもあるため、歯磨きの練習はいったん止めて動物病院を受診してください。
参考情報
- 猫のデンタルケアに関する飼い主向け情報(AVMA (American Veterinary Medical Association))
- 犬と猫のデンタルケアガイドライン(AAHA (American Animal Hospital Association))
- ペットの歯と口の健康に関する情報(日本小動物歯科研究会)
この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりになるものではありません。体調の変化や気になる症状があるときは、早めにかかりつけの獣医師にご相談ください。 執筆:あにまる製薬 編集部